多様性を重視
カナダの教育カリキュラムには、多文化教育が組み込まれています。異なる文化や背景を持つ人々の歴史や貢献について学ぶことがあります。例えば、アボリジナル(先住民)の文化や歴史、カナダでの日系移民の歴史やストーリーなど、さまざまな教材が取り入れられています。このような取り組みにより、子供たちは色々な文化や価値観に触れることができ、自分のルーツに誇りを持ちながら他の文化や背景を理解する力を養なっています。日本の小学校では「みんな同じでないといけない!」という雰囲気が有りましたが、カナダでは、こうした多様性教育の結果、外見に対するいじめがあまり発生せず、またシャイな子供や英語が喋れない外国からの子供達に対しても、カナダではウエルカム的な雰囲気が広がっています。
カナダのピンクシャツデー
2007年にカナダのノバスコシア州で起こった実際の事件から、「ピンクシャツデー」が誕生したそうです。いじめ撲滅を目的とした取り組みが学校や、コミュニティで毎年行われています。子供たちや学校コミュニティに対していじめの問題に対する意識、考えるきっかけを作っています。
ビッグバディシステム
カナダの小学校で行われているビッグバディシステムは、上級生と下級生がペアになり、上級生(高学年の子供達)が下級生(低学年の子供達)をサポートするプログラムです。ビッグバディのペアは、一緒に学校の活動を行います。例えば、お互いの教室で一緒に学ぶ読書、ハロウィンのカボチャのランタンを一緒にバディと作ったりなどの様々なプロジェクトを共同で行ったり、運動やレクリエーション活動を楽しむなどの活動を共有します。
この活動を通じて、上級生と下級生が互いに関わりながら成長し、下級生は上級生にリスペクトと感謝の気持ちが生まれます。こうして、学年や年齢を超えた友情も育まれます。息子からは、昼休みの低学年同士のちょっとした喧嘩が起こっても、高学年のバディが止めに入った、という話をよく聞きます。このようなビッグバディシステムは、いじめが起こりにくい環境を作っているのではないでしょうか?

学業のストレス
カナダの小学校では日本のようなお受験がほとんどなく、オープンで、公立学校への入学は住んでいる地域によって決まります。私立学校の受験も非常に限られています。
それから、カナダの成績評価は多面的で、日本のような一律テストだけで成績は決まりません。クラス内活動やグループプロジェクト、クリエイティブな表現、授業への参加度などが成績評価に組み込まれるため、生徒の学習能力やスキルが多面的に評価されるようになっています。さらに、日本では不登校になりがちな、発達障害やギフテッドの子供たちへのサポートもカナダでは大変充実しています。
教師の違い
日本の小学校では、教科書を厳密にカリキュラムに沿ってきっちりと教える傾向があります。しかしカナダの小学校の先生は、そうではありません。カナダの小学校の先生は、カリキュラムを踏まえつつも、柔軟なアプローチを取ります。教科書に載っている順番にこだわらず、生徒たちの興味や学習スタイルに合わせて教材や授業内容を選定することが一般的です。また、学習において単に知識を詰め込むだけでなく、生徒たちがどちらかというと、自主的に学び、自ら考える力や問題解決能力を育むことを重視しています。
そしてもう一つ日本と違うことと言えば、カナダの小学校の先生は、いつも同じ学年を教えるということです。毎回同じ学年を担当することによって、先生はその学年に特化した専門知識を獲得する事でしょう。日本のように、毎年別の学年を担当するよりも、先生の心にも余裕が出来るのではないかな?と思います。カナダの先生方は教育方法に常に工夫を凝らし、生徒たちが学習への興味を持ち続けるように上手くサポートしてくれます。また、 同じ学年を続けて担当することで、先生は生徒たちとの関わり方をより学び、深いつながりを築くことができているのではないでしょうか?その結果、いじめや、不登校児が少ないのでは?と思います。
親と学校が連携することは重要
カナダでは、共働き家庭でも子供の勉強は塾や家庭教師に頼ることは少なく、塾も日本のようにはありません。また、家庭教師も日本より割高です。代わりに、カナダの小学校では親と学校が連携して子供たちの教育に取り組むことが重視されています。先生たちとの定期的な面談やメール、放課後などでのコミュニケーションを通じて、学校内で起こった友達同士の喧嘩についても、先生と親が連携して対応します。このような連携により、子供たちは学業面での成長だけでなく、自己肯定感や社会的スキルなど幅広い側面で成熟していくことを目指します。親と学校が協力し合うことで、子供たちに充実した学びの経験を提供することができるのです。また、この連携がいじめや不登校が少ない要因になる可能性も考えられます。
このように、カナダの教育では多様性が重視され、多文化教育が行われています。これにより、子供たちは異なる文化や背景を理解しています。また、ピンクシャツデーの取り組みやビッグバディシステムなど、いじめ対策や学業面での成長をサポートする取り組みが行われています。また学業では、お受験は無く、成績は一律テスト評価でなく、クラスでのアクティビティなどの総合評価で決める。発達障害やギフテッドの子供たちへの手厚いサポートも充実しています。カナダの先生は柔軟なアプローチを取り、生徒の興味や学習スタイルに合わせて教材や授業内容を選定します。親と学校の連携も重要で、子供たちの学びの経験を充実させる要因になっています。これらの取り組みが、カナダの小学校でのいじめや不登校の少なさにつながっているのではないでしょうか?