~私の体験から~
カナダへの高校留学は、言葉も文化も食生活も異なる中で過ごす、まさに「人生の転機」とも言える大きな挑戦です。もちろん、留学を通して得られる経験や成長は何にも代えがたいものですが、新しい環境に慣れるまでは、ちょっとしたことで戸惑ったり、不安になったりすることもたくさんあります。
私の最初の留学先は、牛や山羊がのんびりと放牧されている農業の盛んなのどかな地域でした。空はどこまでも広がり、遠くには雪をかぶった山々がそびえ、まるで時間がゆっくりと流れているような別世界に来てしまったような感覚でした。特に春になると、一面に咲き誇るチューリップ畑の美しさには心を打たれました。
とはいえ、日本の都市生活に慣れていた私にとっては、最初は戸惑うこともたくさんありました。周囲には白人の家庭が多く、日本の食料品を扱っているスーパーやアジア系のお店もなく、日本語もまったく通じない環境。言葉の壁だけでなく、食べ慣れた調味料やインスタント食品が手に入らないことに、小さな不便を感じる日々でした。
また、留学先は典型的な車社会で、バスは無料だったものの、本数は1時間に2本ほど。乗り換えが必要なことも多く、ちょっとした買い物や移動にも不便を感じることがありました。
そんなとき、「ああ、日本からこれを持ってきておけばよかった」と後悔することが何度もありました。
今回は、そうした私自身の実体験を交えながら、カナダ高校留学で「持ってきてよかった/持ってくればよかった」と感じた便利グッズをご紹介したいと思います。

1. 歯ブラシ(日本製)
私が海外に来てまず驚いたのが、現地の歯ブラシのヘッドの大きさでした。とにかくブラシの部分が大きくて、日本人の小さめの口にはとても合いません。口の奥まで届かず、磨きづらくてストレスになりました。日本のドラッグストアで売っているようなコンパクトヘッドの歯ブラシを、多めに持っていくことを強くおすすめします。替えの歯ブラシも忘れずに。
2. 常備薬(使い慣れた薬)
最初のころは、薬局の場所もよくわからず、どんな薬が売っているのかも全く知らない状態でした。そんな中で体調を崩したとき、日本から持ってきた風邪薬や頭痛薬、目薬、胃薬などが本当に頼りになりました。
特におすすめなのは以下のような薬です:
* 総合風邪薬(発熱・のど・鼻用)
* 鎮痛剤(頭痛・生理痛)
* アレルギー薬(花粉やホコリに反応する人向け)
* 目薬(乾燥対策)
* 整腸剤(食べ慣れない料理でお腹がゆるむことも)
病院に行くほどではないけれど、ちょっと体がつらい…というときに、日本の薬があれば安心感が全然違います。また、こちらの薬を見てもよく分からず、成分や効き目の強さ、用法・用量が自分に合っているのか判断が難しいこともあります。使い慣れた日本の薬があれば、迷うことなくすぐに対処できるので、いくつか持っておくと本当に助かります。

3. 日本食(インスタント味噌汁やレトルトご飯など)
慣れない食生活の中で、一番恋しくなったのが「日本の味」です。もちろん、カナダの家庭料理やカフェのごはんも美味しいですが、続けて食べていると、ある日ふと、味噌汁や白いご飯が恋しくなる瞬間が訪れます。
そんな時に、インスタント味噌汁やサトウのごはん(電子レンジで温めるだけ)、インスタントラーメンがあったことで、心がホッとしました。留学生活の中でホームシックになる瞬間は誰にでもあると思いますが、そんな時に「日本の味」は何よりの癒しになります。
ふりかけ、海苔、カレールウ、だしパックなども、小さめのパッケージで持っていくと便利です。
4. 文房具(日本製)
カナダでも文房具はもちろん手に入りますが、シンプルで種類も少なく、日本の文具に慣れていると物足りなく感じることがあります。特に使いやすいシャーペン、消しゴム、細かい色分けができるペンやマーカーなどは、日本の方が圧倒的に使いやすいです。
「使い慣れたお気に入りの文房具があるだけで、勉強のモチベーションが上がる」というのは、きっと私だけではないはずです。
5. クレジットカードやプリペイドカード
高校生だと、自分名義のクレジットカードは作れないことが多いですが、親のクレジットカードの家族カードや、国際ブランド付きのプリペイドカード(Visa/Mastercard)があるととても便利です。最近はデビットカードを持ってくる生徒さんも増えています。
カナダでは、ほとんどのお店でカード払いが一般的です。バスやカフェ、文房具店、スーパー、自販機まで、「カードをかざすだけ」で支払いが完了するところも多いです。小銭を持ち歩く必要がなく、盗難や紛失のリスクも減ります。
ただし、使いすぎには注意。チャージ式や利用履歴が見られるカードを選ぶと安心です。
6.ユニクロのヒートテック・インナー+カイロ
カナダの冬はとても寒いです。特にトロントやモントリオールなど内陸部では、マイナス20度になることもあります。現地でも厚手のダウンジャケットや手袋などは手に入りますが、日本のように薄くて暖かいインナーは意外と売っていません。
ユニクロのヒートテックや極暖タイプのインナーは、軽くて動きやすいのにとても暖かく、重宝しました。薄手なので何枚か重ね着もでき、荷物もかさばりません。普段着の下に1枚着ておくだけで、寒さの感じ方がかなり違います。
さらに、日本の使い捨てカイロもあるととても便利です。カナダではあまり一般的でなく、手に入りにくいこともあります。通学中のバス待ちや、外での体育の授業、長時間の外出時などに、ポケットやお腹、背中に貼るタイプのカイロを入れておくと、寒さ対策として抜群の効果があります。
なお、ユニクロはカナダの都市部(トロントやバンクーバーなど)にも店舗がありますが、日本に比べてやや割高です。現地で買い足すこともできますが、できれば日本で準備しておくとコストも抑えられて安心です。

7. 折りたたみ傘&レインジャケット
バンクーバーなどの西海岸は「レインクーバー」と呼ばれるほど雨が多いです。カナダの人はあまり傘をささず、フード付きのレインジャケットで過ごす人が多いのですが、日本の軽くて丈夫な折りたたみ傘があると、やっぱり便利でした。
また、風が強い日も多いので、耐風性のある傘や撥水加工のジャケットがあると安心です。
おわりに
カナダでの高校留学は、毎日が新しい発見の連続で、本当にかけがえのない経験になります。しかしそのぶん、最初はちょっと大変なこともあります。
そんなときに、「持ってきた便利グッズ」が心の支えになることがあります。
私自身も、慣れない環境に戸惑いながら、日本から持ってきた味噌汁や薬に助けられました。
とはいえ、今やカナダの都心部にはユニクロ、無印、ダイソーなどもあるので、「あれ持ってくればよかったな」というものも、意外と現地でどうにかなるかもしれません。
もしこれからカナダに留学する方がいたら、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。「これがあってよかった!」という物をしっかり準備して、安心して充実した留学生活をスタートしてくださいね。
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.