山火事、竜巻、地震、洪水への備え
カナダでも、木々の葉はすっかり落ち、朝の空気は冷たく澄み、日が暮れるのも早くなります。人々はそろそろ冬支度を始め、家の周りを整えたり、暖房の点検をしたりと慌ただしくなってきます。こうした季節の変わり目は、自然の美しさと同時に、その厳しさも感じる時期です。
カナダは雄大な自然に魅了される一方で、時として自然の脅威に直面することもあります。日本のように災害大国というわけではありませんが、山火事、竜巻、地震、洪水といった自然災害は確実に存在し、実際に私たちの生活に影響を与えています。
さらに、カナダで生活していると、強風による停電は本当によくあることです。私も毎年必ず何度かは経験しています。数時間程度なら「またか!」という感じで慣れてしまいましたが、一度だけ3日も続いたことがありました。その時の準備不足ぶりは、今思い出しても恥ずかしいです。懐中電灯は一つしかなく、非常食なんて全く用意していませんでした。1日目はまだ何とかなりましたが、夜も家の中はとても暗く、3日目には冷蔵庫の中身はダメになりました。隣のカナダ人の家族は、まるで何事もなかったように普通に過ごしていて、彼らの備えの良さに感心したものです。

災害の状況を把握するには
カナダでは、日常的に災害情報を確認する習慣が重要です。CKNWラジオ(980kHz)、ニュース1130ラジオ(1130kHz)、CBCラジオ(各地の周波数)では、山火事、洪水、停電、竜巻、地震などの最新情報や警報が放送されています。これらをこまめにチェックすることで、迅速な避難や対策が可能になります。
停電(Power Outage)
秋から冬にかけて頻発する生活への影響
カナダでは、特に秋から冬にかけて、強風や暴風雨、積雪、落雷などが原因で停電が頻繁に発生します。秋の嵐シーズンから冬の吹雪まで、季節を問わず備えが必要です。
停電への主な対策
懐中電灯や電池式ランタンを常備する(ろうそくは火災の危険があるため注意)
モバイルバッテリーやポータブル電源を充電しておく
冷蔵庫・冷凍庫の開閉を最小限にする(食材の保冷を保つ)
非常食・飲料水を3日分以上備蓄する
毛布や防寒着を手元に置く(暖房が止まる場合に備えて)
車のガソリンは常に半分以上に保つ(暖を取る・避難に備える)
停電情報をラジオや携帯アプリで確認する(電池式ラジオが便利)
電子レンジやストーブなどの電気製品は切っておく(復電時の事故防止)
洪水(Flood)
秋の豪雨と春の雪解けによる水害
秋には集中豪雨により、ブリティッシュ・コロンビア州やケベック州などで洪水が発生することがあります。2024年秋にもBC州で大規模な洪水が発生し、道路でサーモンが泳いでいたり、高速道路が寸断され物流が影響を受ける地域もありました。また、春の雪解け時期にもマニトバ州などで洪水リスクが高まります。
対策と準備
洪水のリスクがある地域では、「FloodMap」や「Flood Warning」を確認し、排水溝の整備や地下室の浸水対策、保険(FloodInsurance)加入を検討します。早めの避難と安全な経路選択が重要です。
地震(Earthquake)
西海岸を中心に発生のリスク
カナダに来る前は「カナダで地震?」と思っていましたが、実際に住んでみると微量ですが揺れを感じることが時々あります。特にブリティッシュ・コロンビア州の太平洋沿岸は「環太平洋火山帯」に位置しており、地震のリスクが高い地域です。
対策と準備
家具の固定や重いものを高いところに置かないなどの家庭内対策が有効です。学校や職場では「Drop,Cover, and Hold on」(身を低くして、テーブルの下に入り、しっかりつかまる)という行動を学びます。

山火事(Wildfire)
春から夏にかけて広がる煙と避難勧告
ブリティッシュ・コロンビア州やアルバータ州では、春から夏にかけて雨があまり降らず乾燥と高温の影響で山火事が頻発します。早い年では5月から火災が発生し始めることもあります。特に2023年や2024年には、記録的な規模の山火事が発生し、都市部まで煙が届くこともありました。
対策と準備
州政府や自治体は、山火事の危険度を「FireDanger Rating」として公表しており、日々のチェックが重要です。非常時に備えて「72時間キット」(非常食、水、懐中電灯、電池、薬など)を常備しておくよう勧められています。また、自宅で避難生活を送る可能性も考え、充電器やラジオ、身分証明書、現金(停電や通信障害でクレジットカードが使えない時に食料や水、ガソリン、宿泊費などを支払うため)も含め、3日から1週間分の備蓄を準備しておくと安心です。
煙がひどい場合は、窓やドアを閉め、HEPAフィルター付きの空気清浄機を使うなどして室内の空気の質を保ちましょう。外出はできるだけ避け、煙を吸い込むような屋外での活動は控え、水分をこまめに補給することが大切です。
竜巻(Tornado)
主に中部で夏に発生する激しい突風
カナダでは、特にオンタリオ州南部やアルバータ州で夏に竜巻が発生します。アメリカほど頻度は高くありませんが、突然の突風で家屋や車が被害を受けることもあります。
対策と準備
「TornadoWatch(注意報)」や「TornadoWarning(警報)」の違いを理解し、警報が出たらすぐに地下室や窓のない部屋に避難します。地下室がない場合は、家の中心にある小さな部屋(例:クローゼットやバスルーム)など、窓のない場所に避難します。竜巻が発生しやすい時期(5〜8月)は、天気予報や「TheWeather Network」、ラジオ情報をこまめにチェックする習慣を持ちましょう。
まとめ
カナダにも山火事、竜巻、地震、洪水など、地域ごとに異なる自然災害のリスクがあります。「カナダは安全な国」と思われることも多いですが、どこにいても備えは大切です。災害はある日突然やってきます。水や備蓄食品を用意し、日頃から避難場所や連絡方法を確認し、ラジオなどで最新情報を把握することが、自分や周りの人の命を守る大きな力になります。
また、ラジオ・フラッシュライト・モバイルバッテリーの3つが一体になった防災グッズもカナダで販売されています。停電時や通信が途絶えたときにも役立つため、非常用にあると安心です。
さらに、クレジットカードが使えない状況に備えて、現金も少し用意しておくことが大切です。









