カナダではどの子も同じクラスに在籍し、ともに学校生活を送るインクルーシブ教育が取り入れられています。
日本のようにクラスを分けずどのように学校でサポートしているのか、私の子どもたちが小学校に通うようになって知ったインクルーシブ教育についてお伝えします。
留学生の英語のサポート(ELL)
わたし達家族は家で日本語を使っているため息子が小学校に入学する頃はほぼ英語は話せていませんでした。
地域の小学校に入学する際にスクールボードに入学手続きに行き、家で日本語を使っており英語は第二言語であることを伝えると、後日連絡があり息子の英語のレベルを見るために入学前にスクールボードで英語のテストを受けることになりました。
テストは英語での簡単な質問や絵本を読んでもらいその絵本についての簡単な質問に答えるテストがあり、テスト結果から息子には英語の特別サポートが必要であるとの判断がおりELLクラス(英語のサポートクラス)でのサポートを受けることになりました。
ELLサポートの内容
みんなと同じクラスにいながらELLの先生からみんなと同じ授業内容に取り組むためにサポートを受けたり、週に一回個別に読み書きの練習のためにクラスから取り出してマンツーマンで読み書きの練習に取り組んでもらったり少人数のグループで別の部屋で勉強する時間もありました。
グレード5くらいまでELLの先生からのサポートを受けていました。このような手厚いサポートがあったおかげで息子は入学当初英語が話せなくても辛い気持ちや疎外感など感じることなく過ごすことができたのだろうと思っています。
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学習障害がある生徒さんへのサポート
また自閉症やADHD、学習障害など特別なニーズが必要な生徒にはEA(エデュケーションアシスタント)と呼ばれる先生が配置されることもあります。
特別なニーズが必要な子供達には毎年個人指導計画書IEP (individual education plan) が作成されます。
その子の成長に合わせた目標、ゴールなどクラスの担任とリソースティチャー、そして親も一緒に話しあいIEPを作成し情報を共有しながら子供が成長するためにどのようにサポートしていくべきなのか共通のゴールを設定してサポートの仕方を考えていきます。
子供のIEPによってサポートはみんな違うためクラスから取り出してIEPに沿ったサポートをしたり、クラスにリソースティーチャーやEAの先生が入り勉強や生活面でのサポートを受けることもあります。
また必要に応じて電卓や音声読み上げ機能などのツールの使用やテスト時間の延長、静かな部屋でテストを受けることができるなどの配慮もあります。
授業の様子
実際に子供たちのクラスにお迎えに行くときに少し教室を覗いてみると、たくさんの視覚を活かした教材が貼られていたりバランスボールに座って先生の話を聞いている子やヘッドホンをしている子、クラス横の小さな部屋でEAの先生と勉強している子など本当に色々な子達がいます。
子供達は小さい時から自分にあうサポートを受けることが当たり前の環境であるため、他の子が電卓やiPadなどのツールを使用していたりバランスボールやヘッドホンを使ったりしていても全く気にしていません。

自閉症の生徒さんへの対応
去年息子のクラスに自閉症のクラスメイトがいました。何か不安になったり思い通りにいかなかったとき感情のコントロールが難しくなり落ち着かなくなる時間があったようです。
するとあるクラスメイトの一人が、彼は教室に一人になるともしかしたら落ちつくかもしれないよと先生に伝え、他の子達がクラスから出てグラウンドを二周歩いたり走ったりしたそうです。
戻ってくると落ち着いていたのでその子が落ち着きがなくなったときはみんなが教室からサッと出てグランドを二周回ると言うことになったようです。息子にグラウンドを二周回ることをどう思うか聞いてみたら、僕も外の空気が吸えてリフレッシュできるし僕にとってもいいんだ。と言ったのです。
わたしはこれを聞いた時にインクルーシブ教育の素晴らしさに気づいたのです。
インクルーシブ教育とは
インクルーシブ教育はニーズの必要な子達のためだけではなく、周りもサポートの仕方を考えたり学んだりお互いにとっていい影響を与えるものであるということ。
いつも一緒にいるからその子がどうすれば落ち着くか周りがよくわかっていること、その子のためだけにいいのではなく周りにいる子たちにもいい影響を与える教育なのだと。
もしクラスが分かれたりしていると接する機会が少なくなりどうしていいのかわからなく、助け方がわからず学べないのかもしれないと思いました。
人はいろいろな人がいて助け合いながら生きています。
インクルーシブ教育はお互いに助け合うことを自然に学ぶ事ができる教育なのではないでしょうか。
執筆者
カナダ在住ママ:Riku