最近、日本では若い世代の「海外永住者」が増加しています。日本経済新聞によると、2023年の日本からの海外永住者は57万4727人に達し、過去最多を更新しました。日本の人口学を研究している福井県立大学の佐々井司教授によると、日本の賃金が横ばいであること、ジェンダーの格差、雇用、年金への不安により、日本は「男女共に息苦しい社会」だそうです。特に、北米やオランダ、ドイツなどのヨーロッパへの移住が多いです。男女共に移住が増加しているものの、特に「女性の永住者」が多いことが特徴だそうです。
その中でも、カナダは非常に人気のある移住先で、移民の受け入れも積極的です。日本貿易振興機構(JETRO)によると、2021年のカナダの国勢調査結果では、移民の割合が全人口の23.0%と建国以来最も高く、主要7カ国(G7)の中でも最高であることが明らかになっています。移住者はどんなことを求めてカナダに移住するのでしょうか?私個人的には、アメリカに14年、カナダに16年ほど住んでいますが、カナダがアメリカより良かったと感じたのは治安と医療システムです。また、日本の学校教育で習ったアメリカ英語が通じることもありがたいです。今回はカナダがなぜ移住先に選ばれるのかについて考えてみたいと思います。

カナダの自然
まず、カナダは豊かな自然環境に恵まれており、美しい景観と清潔な空気が特徴です。バンクーバーやトロント、モントリオールなどの主要都市は、都市の利便性と自然の美しさが融合しており、住みやすい環境が整っています。例えば、バンクーバー近郊には壮大なロッキー山脈が広がり、ハイキングやスキーなどのアウトドア活動が盛んです。トロントから少し足を延ばせば、世界的に有名なナイアガラの滝を訪れることができます。また、モントリオールの近くには、美しい秋の紅葉で知られるローレンシャン高原が広がっています。これらの自然の美しさは、カナダを魅力的な移住先とする一因となっています。
カナダの治安
まず、カナダの銃規制は非常に厳格で、個人が銃を所持することが難しいため、銃犯罪の発生率が低いです。また、カナダの警察は地域社会との協力関係を重視しており、住民と警察が連携して治安を維持する体制が整っています。さらに、カナダは多文化社会であり、異なる文化や背景を持つ人々が平和に共存していることも治安の良さに寄与しています。教育やコミュニティプログラムが充実しており、若者が健全な環境で育つ機会が多いため、若年層の犯罪率も低いです。

カナダの医療
さらに、カナダの医療制度や教育制度は世界的に高い評価を受けています。カナダの医療制度はユニバーサルヘルスケアを採用しており、全てのカナダ市民および永住者が基本的な医療サービスを無料で受けられます。また、予防医療に力を入れており、定期検診やワクチン接種などの予防的な医療サービスが充実しています。これにより、病気の発見や、予防が可能となり、全体的な健康状態が向上します。
他民族国家
また、カナダは多文化共生が進んでおり、様々なバックグラウンドを持つ人々が共存しています。新しい文化や価値観を受け入れやすい社会環境は、日本からの移住者にとって非常に魅力的です。特に、日本人コミュニティも存在し、異国での生活をサポートしてくれます。

カナダ経済、ワークバランスの尊重
カナダの経済状況も安定しており、多くの就労機会が存在します。また、カナダはワークライフバランスの良さでも知られています。労働時間が比較的短く、有給休暇や育児休暇が充実しているため、仕事と家庭生活を両立しやすい環境が整っています。カナダでは、個人の生活の質を重視する企業が多く、柔軟な働き方が奨励されています。これにより、移住者は仕事だけでなく、プライベートの時間も充実させることができるでしょう。
女性が活躍しやすい環境
さらに、カナダは女性が活躍しやすい環境が整っています。ジェンダー平等が進んでおり、女性の社会進出が奨励されています。多くの企業が女性リーダーを積極的に登用しており、女性がキャリアを築きやすい環境が整っています。
これらの理由から、カナダは日本からの移住者にとって非常に魅力的な移住先です。豊かな自然環境、治安の良さ、充実した医療・教育制度、多文化共生の社会、安定した経済環境、優れたワークライフバランス、さまざまな国の人々との出会い、そして女性が活躍しやすい環境など、カナダには多くの魅力があります。私自身も女性として、子育てや教育、ワークバランス、医療の面でカナダに非常に満足しており、安心して暮らしています。
引用文献
日経新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFE305IG0Q3A031C2000000/
JETRO
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/4002a08d00e5974a.html
日本記者クラブ
https://www.jnpc.or.jp/archive/conferences/36527/report
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.