留学や海外生活をしていると、多くの学生が経験する「ホームシック」。特に、海外での生活に慣れるまでは避けられない感情のひとつです。
新しい環境への期待や興奮と同時に、不安や孤独を感じることもあります。私自身、ホームシックに悩まされることが何度もありました。
最初のホストファミリーにそのことを伝えると、「ホームシックを考える暇がないくらい、何かに打ち込んでみましょう!」というアドバイスをもらい、さまざまなアクティビティに参加しました。また、当時はネットがまだ発達していなかったので、旧友に国際電話をかけて長話をしたりもしました。そうして過ごすうちに、気づけばホームシックを乗り越えていました。
ホームシックは精神的な負担となり、学校に通う意欲を失わせたり、集中力を低下させる原因となることがあります。また、長引くと心身の健康にも影響を及ぼしかねません。
そのため、ホームシックは軽視できるものではなく、早め対処が必要です。今回は、ホームシック対策についてまとめてみました。
カナダの天候からの影響と対策
カナダの天気がホームシックに与える影響は大きく、特に秋から冬にかけての日照不足が気分の落ち込みを引き起こしやすくなります。これは「季節性情動障害(SAD)」と呼ばれ、日光不足により体内のセロトニンが減少し、気分が不安定になりがちな状態です。初めてカナダに来た留学生にとって、この天候による影響はホームシックの症状を悪化させ、孤独感や不安感を増幅させる可能性があります。
このような状況に対する対策としては、まずできるだけ日光を浴びることが重要です。たとえば、曇りの日でも外に出て散歩をしたり、窓際で過ごしたりすることで、少しでも自然光に触れるように心がけるとよいでしょう。また、SADライトと呼ばれる光療法用のライトを使用することで、日照不足を補うことができます。さらに、適度な運動やバランスの取れた食事も心身の健康を保つのに役立ちます。冬の暗く長い日々には、友達と過ごす時間や趣味を増やし、気分転換を図ることも効果的です。

ホームステイでの孤立と対策
ホームステイでの孤立感に対処するためには、まずホストファミリーとのコミュニケーションを積極的に図ることが重要です。言語や文化の違いによる「よそ者」感は、ホームシックの大きな原因となりますが、ホストファミリーと小さな会話を重ねることで、お互いの理解が深まり、疎外感を減らすことができます。
日々の何気ない話題や質問をすることで、ホストファミリーとの関係を築きやすくなります。また、自分の気持ちを伝える際には、無理に完璧な英語を使おうとせず、シンプルに伝えることを心がけると良いでしょう。
さらに、ホストファミリーの生活習慣や文化に積極的に参加することも孤立感を解消する助けとなります。たとえば、一緒に料理をしたり、家族のイベントに参加したりすることで、共同体感覚が生まれます。ホストファミリーに対して感謝の気持ちを伝えることも、良好な関係を保つために大切です。小さなことでも感謝の言葉を口にすることで、ホストファミリーもあなたの存在をより大切に思ってくれるでしょう。
食事
海外での生活において、日本食が恋しくなることはよくあります。食事は、文化を感じるだけでなく、心の安定にも大きく関わる要素です。カナダでの食事が口に合わなかったり、食べ慣れないものばかりだと、さらにストレスが溜まります。日本ではご飯や味噌汁が日常的な食卓の風景ですが、カナダではパンやシリアル、ファストフードが主流なことも多く、この食の違いがホームシックを悪化させることもあります。
このような場合、自分の食の好みをホストファミリーに伝えることや、時には自分で食べたい物を料理をすることも有効です。また、ホストファミリーと一緒に料理を楽しむことで、文化交流を深めるきっかけにもなり、絆を強める手助けになるかもしれません。食事の面でのサポートが得られれば、心も少し軽くなるでしょう。
ゆる友の勧め
ホームシックを乗り越えるためには、気軽に話せる「ゆるい友達」やSNSでつながる友達を作ることが効果的です。例えば、携帯メールで「今どうしてる?」「このイベント楽しかったよ」「学校でこんなことがあったんだ」など、簡単な話題を気軽に共有できる友達がいると、孤独感が和らぎます。
深い関係である必要はなく、SNSを通じた気軽なつながりでも十分に心の支えになります。軽い会話やメッセージのやり取りを通じて、気分転換ができ、日常生活の中で楽しみを見つけやすくなるでしょう。こうした友達との交流は、ホームシックを自然に克服する助けとなるはずです。
最後に
ホームシックを感じたときは、孤独に悩むのは自然なことです。しかし、小さな工夫で状況は必ず改善されます。天気に合わせた行動やホストファミリーとの交流、SNSでの軽い友達とのつながりを通じて、少しずつ前向きな気持ちを取り戻せるはずです。無理をせず、焦らず自分のペースで新しい環境に慣れていけば、やがてホームシックも和らいでいきます。自分を信じて一歩一歩進んでください。
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.