カナダのセカンダリースクールで迎えた秋の新学期2025

― リッチモンド学区から―

九月、カナダのブリティッシュ・コロンビア州リッチモンドでは、さわやかな秋風とともに新学期が始まります。朝晩の空気がひんやりとして街路樹の葉が色づき始めると、夏の終わりと新しい季節の訪れを感じます。子どもたちは夏休みの余韻を残しながらも、新しい学年への期待を胸に登校します。

息子が通うセカンダリースクール(日本の中高校にあたる)でも、生徒たちは新しいクラスや先生との出会いに胸をふくらませています。息子は今年からGrade9(日本でいう中学3年生)になり、セカンダリースクールでの2年目がスタートしました。今回は、カナダのセカンダリースクールで行われる主な学校行事をご紹介します。

新学期初日と新入生歓迎イベント

セカンダリースクールの新学期初日には、日本のような始業式は行われませんが、生徒たちは登校して新しい学年のスタートを迎えます。この日、生徒たちはまず自分の時間割を受け取り、希望していたクラス、選択科目が取れたかどうかを確認します。友達と同じ授業があるかどうかも気になり、自然と話題が弾む様子が見られます。その後、ロッカーの鍵が配られ、荷物を整理して新しい一年の準備を整えます。

また、新入生(Grade8)を歓迎するイベントも行われます。日本のように入学式はありませんが、代わりに在校生や先生たちが温かく迎える歓迎会が開かれます。この日にはホットドッグやチップス、ドリンクがふるまわれ、学校のロゴ入りTシャツもプレゼントされます。新入生たちは友達をつくりながら、学校の一員になった実感を味わう特別な一日です。

さらに、9月の終わり頃Clubs Day と呼ばれるクラブ紹介イベントも行われます。ランチタイムに中庭や体育館で開かれ、さまざまなクラブがブースを出して活動内容を紹介します。スポーツ、音楽、アート、ボランティアなど、多彩なクラブがあり、生徒たちは気になるクラブの話を聞いたり、メンバーと交流したり、その場で申し込みをしたりします。ClubsDay は新しい友達をつくるきっかけにもなり、多くの生徒が楽しみにしている学校行事のひとつです。

“Meet the Teacher Night”で感じる温かいつながり

九月終わりには、毎年恒例の「Meetthe Teacher Night(先生に会う会)」が開かれます。保護者が子どもの担当教科の先生に直接会い、授業内容や評価の方法について説明を受ける機会です。

私も息子の先生方を訪ねました。この日は、1人の先生が約15分ずつ、20人ほどの保護者に授業の進め方や評価方法について説明してくれました。テストだけでなく、日々の課題やグループワーク、プレゼンテーションも成績に含まれるそうです。先生方の温かい人柄や、生徒を大切にする姿勢が伝わり、親として安心できる時間でした。

テリー・フォックス・ランに込められた思いやり

九月の終わりには、全国の学校で「テリー・フォックス・ラン(TerryFox Run)」が行われます。テリー・フォックスは、がんのため片足を失いながらも、がん研究のためにカナダ全土を走ろうとした青年です。その精神を受け継ぎ、生徒たちは募金を集めながら走ります。

息子の学校では、隣にあるサウスアーム・パークを全校生徒で一周しました。曇り空の下、生徒たちは笑顔でスタートし、息子も「みんなで走ったらすごく楽しかった」と話していました。走りながら、テリーの勇気や「誰かのために行動する」大切さを学んだ一日でした。

 

ハロウィンで彩られる秋の学校

10月に入ると、街も学校もハロウィン一色になります。廊下や教室にはカボチャや魔女、コウモリ、黒ねこの飾りが並び、学校全体がにぎやかな雰囲気に包まれます。街にはハロウィン専門店まで併設され、仮装グッズやデコレーションを求める人々でにぎわいます。

10月の終わりには仮装コンテストが開かれ、ゾンビやスーパーヒーロー、日本のアニメやゲームキャラクターなど、思い思いの衣装で登校する生徒たちの姿が見られます。息子は仮装しませんが、友達のユニークな姿を見るのを楽しみにしています。

当日は先生たちも仮装して授業を行い、校内はまるでお祭りのような盛り上がりです。写真撮影コーナーが設けられたり、お菓子が配られたりと、笑顔があふれる一日になります。仮装をしない生徒も、雰囲気を楽しみながら友達と写真を撮ったり、笑い合ったりして、それぞれのスタイルで参加できます。自由で温かい雰囲気の中で、誰もが自分らしく楽しめるのがカナダの学校の魅力です。

この日ばかりは勉強の合間にみんなが一緒に笑い合い、国籍や年齢の壁を越えて「同じ学校の仲間」としてつながれる時間になります。

自由で温かい教育環境の中で

カナダの学校では、テストの点数だけでなく、創造力や協調性を重んじる教育が根づいています。行事を通して、生徒たちは仲間との絆や思いやりを育みながら、自分らしく成長していきます。

また、カナダのセカンダリースクールには、日本にはあまりない「選択教科」という仕組みがあります。英語や数学などの必修科目に加えて、生徒自身が興味のある授業を自由に選ぶことができるのです。息子も、日本語クラスで「ひらがなカルタ」を自作してグループでカルタ大会をしたり、ポッテリー(陶芸)の授業で沖縄の海で見た亀を粘土で表現したりと、好きなことを通して学ぶ楽しさを味わっています。こうした学びを通じて、自分の個性や表現力をのびのびと伸ばしていけるのが、カナダの教育の魅力だと感じます。

公園の木々が黄金色に染まり、落ち葉が舞う季節になると、息子が笑顔で学校から帰ってくる姿に、リッチモンドでの学校生活が少しずつ彼の中で大切な思い出として積み重なっているのを感じます。カナダの秋は、息子にとって学びと成長に満ちた季節です。

 

執筆者

カナダ在住ママ:T.H.

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