カナダのセカンダリースクールでの選択科目とは?
日本の高校では、文系・理系に分かれた後、数学や理科(化学、物理、生物など)の履修内容が決まります。また、芸術科目では音楽、書道、美術の中から一つを選ぶことが一般的です。選択肢は限られており、個々の興味や将来の進路に合わせた柔軟な科目選択は難しいのが現状です。
一方、カナダのBC州にあるセカンダリースクール(グレード8~12)では、英語、数学、理科、社会、体育(10年生まで必修)、キャリア教育などの必修科目に加えて、「自分の好きなこと」や「将来の夢」に合わせて選べる多彩な選択科目が用意されています。選択科目は約60種類に及び、個々の興味や将来の目標に合わせて、幅広い学びの選択肢を提供しています。

「学校=勉強する場所」ではなく、「学校=新しいことに挑戦できる場所」になるのが、カナダのセカンダリースクールの最大の魅力です。自分の興味に合わせて学びながら、新しい可能性を広げていくことができます。カナダでの学びが、将来の選択肢を広げ、あなたの夢を現実に近づけるきっかけとなるでしょう。
今回は、カナダの高校で選択できる科目のうち、「言語」と「芸術」に焦点を当ててご紹介します。高校では、自分の興味や将来の目標に合わせて科目を選ぶことができますが、開講されるクラスは学校によって異なるため、すべての学校で同じ選択肢があるわけではありません。それでは、具体的にどのような科目があるのか見ていきましょう!
言語科目 – 世界とつながる!
外国語を学ぶと、いろんな国の人とコミュニケーションがとれるようになります。BC州では、以下の言語を学べる学校が多いです。学校によって選べる言語は違いますが、初級から上級までレベルに合わせて学べます。

フランス語(French)
基本的な文法、語彙、発音を学び、フランス語で日常会話ができるようになることを目指します。フランス語圏の文化や文学も学びます。
会話、読み書き、リスニングを通じて、フランス語を実際のコミュニケーションで使えるように練習します。フランスの映画、音楽、文学などに触れ、言語だけでなく文化を深く理解します。
スペイン語(Spanish)
スペイン語の基本的な文法、語彙、発音を学び、簡単な会話ができるレベルを目指します。スペイン語圏の歴史や文化も学びます。
スペイン語での会話、読み書き、リスニングを重視します。ラテンアメリカやスペインの映画、音楽、食文化についても学び、言語を使った異文化交流を体験します。
日本語(Japanese)
学習内容: 日本語の文法、語彙、ひらがな・カタカナ・漢字の使い方を学び、簡単な日本語の会話や文章作成を目指します。日本の文化や社会についても学びます。
日本語を使った日常会話、読み書きの練習を中心に、アニメや映画などを通じて日本の文化に触れる機会もあります。日本の伝統行事や礼儀作法についても学ぶことができます。

中国語(Mandarin Chinese)
中国語の基本的な文法、語彙、発音を学び、簡単な会話や日常的な表現を使えるように練習します。中国の文化や歴史にも触れます。
中国語の四声(発音)や簡体字(文字)の学習が含まれ、語学能力とともに中国の社会や伝統、経済についても理解を深めます。文化交流や中国の映画や音楽も学習の一部です
韓国語(Korean)
学習内容: 韓国語の基本的な文法、語彙、発音を学び、日常会話を楽しめるようにします。韓国の文化や社会に関する知識も深めます。
授業の特徴: ハングル(韓国文字)の読み書きや、簡単な会話、聴解練習が中心です。K-POPや韓国映画、食文化なども学ぶことで、韓国に対する理解が深まります。
ドイツ語(German)
ドイツ語の文法、語彙、発音を学び、基本的な会話をする能力を身につけます。ドイツ語圏の文化や歴史についても学びます。
授業の特徴: 会話、リスニング、文法練習を中心に、ドイツ語圏の文学や音楽、映画、社会についても触れることができます。ドイツの歴史や社会問題に関するディスカッションを行うこともあります。
スペイン語のクラスを履修した人の体験談
スペイン語9年生を取った方からクラスの印象を聞くと、多くの生徒にとって初心者レベルの学習でした。基礎的な語彙や文法を学びつつ、簡単な会話や文章作成の練習をする段階です。
授業では、日常的なテーマ(自己紹介、家族、趣味、学校生活など)を扱いながら、現在形の動詞の活用や基本的な形容詞の使い方を学びました。また、リスニングやスピーキングの活動も増えました。例えば、リスニングではネイティブスピーカーの短い会話を聞いて内容を理解する課題がありました。スピーキングでは、ペアワークで簡単な会話を作ったり、自分の好きなことについて短いプレゼンをするプロジェクトもありました。最終的には、クラス全員の前で自己紹介をする発表などもあり、実際にスペイン語を話す機会が増えていきました。
芸術科目 – クリエイティブな才能を伸ばそう!
芸術的な表現力を育むための科目が豊富にあります。
カナダの高校の選択教科「ビジュアルアート(Visual Arts)」では、絵画、陶芸、彫刻、デジタルアートなどのさまざまなアート形式を学び、創造力を育むことを目的としています。このクラスでは、学生が自分のアート表現を探求し、技術を習得しながら芸術的な視野を広げることができます。

具体的に学ぶ内容は以下の通りです:
絵画 ( Painting )
デッサンや油絵、水彩画などの基本的な技法を学び、色の使い方や形の表現方法を探求します。さまざまなスタイル(写実的なものから抽象的なものまで)を学びながら、自己表現を深めます。
陶芸 (Pottery)
土を使った作品作りの基本を学びます。手びねりやろくろを使って、陶器や彫刻を作成し、焼き方や釉薬の使い方も学習します。陶芸を通じて、形やテクスチャーに対する理解を深めます。
彫刻 (Sculpture)
木材や金属、石、粘土などさまざまな素材を使って立体的な作品を作ります。彫刻の技術や空間の使い方、陰影の作り方などを学びます。3Dのアート表現に挑戦することで、形態感覚を養います。
デジタルアート(Digital Art)
コンピューターを使ったアート制作に焦点を当て、グラフィックデザインやデジタルペインティング、写真編集などを学びます。デジタルツールを活用して、現代的なアートを制作する方法を学び、ソフトウェア(例えば、Adobe PhotoshopやIllustrator)の使用方法を習得します。
アート理論と歴史:アート作品を作るだけでなく、アートの歴史や理論も学びます。過去のアート運動や著名なアーティストについて研究し、作品を批評する能力を高めます。
音楽(Music)では、コーラス、楽器演奏、作曲 ジャズバンドなどさまざまな音楽的なスキルを学ぶことができます。音楽のクラスは、音楽の理論、演奏技術、創造的な表現を通じて学生の音楽的な才能を伸ばすことを目的としています。
演劇(Theatre Arts)では、舞台演技や脚本作成など、さまざまな演劇的スキルを学びます。このクラスは、学生が自分の表現力を高め、演劇の基礎から高度な技術までを学ぶための貴重な機会です。
ダンス(Dance)では、さまざまなダンススタイルを学び、身体的な表現力やリズム感を向上させることができます。このクラスは、技術的なスキルを学びながら、自己表現や創造性を高めるための場でもあります。

吹奏楽バンドを選択した8年生の体験談
8年生の息子は芸術科目として吹奏楽バンドを選択しました。小学校の頃は家でバンドの曲を練習することは一度もありませんでしたが、セカンダリークラスでは初見力が求められ、楽譜をすぐに演奏できるスキルが必要になります。
クラシック音楽の初見には慣れている息子も、ポップスの楽譜に出てくる16分音符や32分音符、付点音符が入り混じった複雑なリズムには苦戦しており、時々楽譜を家に持ち帰って練習しています。また、PLTの時間を利用して個室を借り、フルートのパートを必死で練習することもあります。
さらに、音楽セオリーのテストや作曲者についての音楽史のテストもあり、想像以上にテクニカルなクラスで、決して楽なものではありませんが楽しいようです。
演劇を選択した生徒の体験談
8年生でドラマのクラスを取っている子に話を聞いたところ、クラスではさまざまなプロジェクトが行われているそうです。最近のグループワークでは「サウンドエフェクト」という企画があり、参加者たちは体を使ったり、楽器以外のものを活用して独自の音を作り出し、その成果を発表し合ったそうです。
まとめ
カナダのセカンダリースクールでは、芸術科目一つをとっても、実践的なスキルや創造力が求められることがわかります。吹奏楽バンドでは高度な読譜力や演奏技術を磨き、ドラマのクラスでは発想力や表現力を鍛えるなど、それぞれの選択科目が生徒の成長につながるよう工夫されています。こうした多彩な学びの機会を通じて、子どもたちは新たな挑戦を重ね、自分の可能性を広げていくのかもしれません。
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.
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