私が最初に留学したのは20年以上も前のことですが、その経験があるからこそ今の私があるので、ちょっとその経緯をお話したいと思います。もし今、留学に迷っている方やいつ行こうか迷っている方への参考になれば幸いです。
最初の留学
私は日本の大学で微生物学を専攻していました。中学生の頃からいつかは海外留学をしたい、海外で住みたいという夢がありましたが、現実には何も動かずに過ごしていました。大学に入り研究を通して初めてカナダ留学が実現し、3か月という時間を過ごしました。この時の留学のきっかけは、研究室の教授が私が海外に行きたいのを知っており、憧れだけではなく実際に行ってきなさいと送り出してくれました。
やりたいと思う気持ちが実現した第一歩の始まりでした。まだ英語もほとんどできないのにカナダの自然と人のやさしさにに引き込まれるのに時間はかかりませんでした。いつかはカナダの大学で学びたいという意欲までわいてきましたが、なかなか重い腰も上がらず、大学院に進んで忙しい日々を過ごしていました。
2回目の留学
大学院在学中、研究もうまく進まないし留学の夢があきらめきれずに「留学して英語を勉強して海外の大学に入るぞ!」と日本の大学院を飛び出してとカナダに渡りました。と恰好良く書いてみましたが、現実から飛び出して夢に見ていた海外で住むという世界に飛び込んでみたかったんです。
まず最初は語学学校に入りTOEFLのスコアをあげるために勉強しました。語学学校ではレベル分けするのにテストをしますが、日本の学校の英語教育のたまもので文法や文章力は理解でき成績が良かったので上級クラスに振り分けられたのですが、コミュニケーションがスムーズにとれず一緒にいた日本人のお友達と何度も泣きながら発表の練習をしたことを覚えています。
クラスを下げて欲しいとお願いしましたが、その時の先生が大丈夫だからとサポートして下さり厳しい中で授業を受けたことが力になったと思います。実際にカナダに住んでみることでお友達やホストファミリーと英語を話す機会が毎日あり、話す力は日に日に上手になっていきました。
カナダには世界中から集まった人達が住んでいますので、英語以外にも色々な言葉が話されています。英語が第一言語ではないので、現地の人達も色々な英語に慣れているのか、私がこの時に過ごしたトロントでは私の英語も何とか通じていたようです。しかしながら、TOEFLという大学向けの試験対策には向かず、大学から要求されたスコアは何か月たってもクリアすることはありませんでした。
現実は甘くなく、海外に住む=英語が流暢に話せる、英語の成績があがるということはなく、10か月の期間を経て日本へ帰国することになりました。しかしながら、その時にできた友達やホストマザーとの関係はかけがえのないものとなりました。20年以上経つ今でもホストマザーとは繋がっています。実際に長期滞在したことで、カナダの良い面も悪い面も見えてきましたが、やはりカナダは最高という思いは消えないまま日本へ帰国し、幸運にも日本の大学院に復帰することができました。

カナダ移住
日本帰国後、大学院でまた忙しい研究の日々を送り博士の学位を取得することができました。カナダの大学に入ることはできませんでしたが、日本での学位があったためにそれを武器に仕事探しを始めました。仕事探しは、仕事募集の応募に関わらず自分の興味のあることに挑戦してほしいと思います。
私は自分の好きな微生物学の研究室を見つけ、直接ボスにメールを送って、この研究室で働きたいという意欲を伝えました。履歴書作成から初めてのことばかりでしたが、面接ではやる気を全開に主張したところ、そのまま採用されることになりました。そして無事にカナダの就労ビザを取得できカナダに渡ってきました。
色々なお仕事情報サイトやお店などから直接、仕事募集をしていると思いますが、もちろんそこから応募することもできます。しかしながら、まずは一番自分が何をしたいのかを考え、たとえ募集がかかっていなかったとしてもここだと思う場所に連絡して履歴書を送って自分をアピールしてみてください。
やる気をみせるとそこを受け取ってくるのがカナダという国です。「やってみたいな」→「やってみよう」→「やってみる」→「できなかった」(これは失敗ではなく次への成功のチャンス!)→「やってみる」→「できる」→「できた」。全てはあなたの人生にとって体験・経験になるはずです。そしてここまで 私も色々な人生経験がありましたが20年近く経つ今でもカナダに住んでいます。

留学する人へのメッセージ
私の場合は研究職という特殊分野だと感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、色々な人達が夢を持ってカナダに渡ってきてそのまま移住されている方もいます。
日本での美容師経験をいかして美容師の仕事をされている方、動物が好きでトリマーになった方、カナダで幼児教育を勉強してプレスクールや幼稚園の先生になった方、高校留学をしてそのままカナダの大学に入学してそのまま就職して移住した方、ワーキングホリデーでカナダに来てそのまま移り住んでしまった方、パイロットになりたいとカナダで航空免許を取得して今まだ夢半ばの人もいます。
留学したいと思っている人へ、自分の思いを貫いて今持っているものを手放しても留学して得られる体験経験はかけがえのないものになるはずです。ただし、目的も何もなく何となく来てしまうとカナダという多いな大地の中で埋もれてしまう可能性も高いです。自分が何をしたいのか、しっかりと目標をもって、またはそれを探すぞという意思の強さがあれば、カナダの大地で受け入れられるはずです。是非そのチャンスを逃さないで下さい。
執筆者:NM