最近、日本のポップカルチャー、例えばアニメ、漫画、Jポップ、寿司、ラーメンなどの日本料理が世界中で人気を集めています。その影響は、カナダで生まれ育った子供たちにも及び、日本語に対する関心が年々高まっているのが現状です。
実際に、片言の日本語を話す隣人や、息子が通う6年7年生の混合クラスにも、自らアプリを使って日本語を学習する女の子が何人かいるなど、日本語学習に意欲的な姿勢が見られます。
しかし、日本語を母語としない子供たちにとって、日本語の習得は大きな挑戦です。にもかかわらず、自身の文化的背景や二言語環境を生かし、適切な学習支援を受ければ、驚くべき速さで日本語を身につけることができます。
今回は、カナダで生まれ育った子供たちの日本語学習について、その現状と可能性について考察していきます。

日本語学校での学習
カナダの多くの都市には日本語学校があり、これらの学校は子供たちにとって重要な学習の場です。日本語学校では、日本語を母語とする(片方の親または、両親が日本人である)子供たちのクラスと、母語としない子供たちのクラスに分かれて授業が行われることが多いです。これにより、それぞれの子供たちの学習ニーズに合わせた教育が提供されています。
日本語学校では、教師による系統的な授業のほかにも、日本の伝統文化に触れる行事も頻繁に行われます。例えば、習字、お餅を作る、七夕祭り、豆まきなどの活動を通じて、楽しみながら日本語の基礎を身につけることができます。また、絵本の読み聞かせ、教科書の音読、歌の練習なども行われ、これらを通じて日本語の語彙や文法を学び、コミュニケーション能力も養成します。
さらに、高校では選択科目として日本語を選ぶこともでき、日本語学習を継続するための環境が整っています。
語学アプリやネットフリックスを活用
デュオリンゴは、ゲーム感覚で楽しみながら日本語の文法や語彙を学べるアプリです。短時間でも継続して取り組めるため、日常的な語学学習の習慣づくりに役立ちます。楽しみながら確実にスキルアップできるため、子供たちの学習動機づけにも効果的です。
また、ネットフリックスなどの映画やドラマ、アニメなどをオンラインで視聴できるストリーミングサービスを活用することで、リスニング力や語彙力の向上が期待できます。子供たちが興味を持つアニメや映画を視聴することで、自然に日本語に触れる機会が増えます。デュオリンゴでの系統的な学習とネットフリックスでの楽しい視聴を組み合わせることで、総合的な日本語能力の向上が期待できます。

漫画本を活用した学習
子供たちに人気の高い漫画は、日本語学習にも活用できます。漫画本には平易な言葉や会話が多く、イラストと共に語彙や表現が理解しやすいため、学習の一環として非常に有効です。また、登場人物の性格や心情が丁寧に描かれているため、読解力や文化理解にもつながります。漫画本を繰り返し読むことで、語彙力や文法力が自然と身につきます。
また、カナダの図書館には、小学生が読む日本語で書かれた本もあり、これらの本を利用することで、日本語に触れる機会を増やすことができます。図書館で日本語の本や漫画を借りることができるので、家庭でも気軽に日本語の読書を楽しめます。
日本語検定試験の活用
日本語学習の成果を客観的に評価する手段として、カナダでも漢字検定試験(漢検)や日本語能力試験(JLPT)が実施されています。これらの試験に合格することで、日本語力を証明し、大学進学や就職の際に有利になります。子供たちが自身の日本語力を把握し、学習意欲を高めるためにも、これらの試験の受験を勧めることが重要です。
家庭での親の役割
子供の日本語学習において、家庭環境は非常に大きな影響を及ぼします。親が家庭内で積極的に日本語を使用することで、子供の語彙力や会話力が飛躍的に向上します。また、日本の行事や伝統を家庭に取り入れたり、一緒に参加したりすることで、文化理解も深まります。親が子供の学習意欲を後押しし、教育機関とも密に連携することが、子供の成長を支援する上で重要です。
このように、楽しみながら日本語学習に取り組む子供たちの姿勢と、適切な学習支援により、カナダで生まれ育った子供たちが初級からハイレベルの日本語能力を身につけることが可能になっています。
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.