私自身、アメリカで留学を経験し、カナダではホストファミリーとして、多くの国や日本からの留学生と関わる機会がありました。留学を通じて大きく成長する学生も多くいますが、一方で途中で挫折して母国に帰る学生もいます。その原因は、目標の不明確さ、メンタルの弱さ、自己管理の不備、語学力の不足、他文化への興味の欠如など、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。今回は「失敗する留学」について掘り下げ、その背景にある要因を考察します。皆さんが留学を成功させ、成長するための参考にしていただければ幸いです。
目的意識の欠如
留学が失敗する最大の理由の一つは、明確な目的意識の欠如です。なぜ留学するのか、何を達成したいのかが明確でないと、留学中に迷子になってしまうことが多いです。多くの学生が「英語を学びたい」「海外で経験を積みたい」という漠然とした理由で留学を始めますが、それだけでは不十分です。具体的な目標を持たないと、留学生活が散漫になり、成果を上げるのが難しくなります。
例えば、「英語力を向上させる」という目標に加えて、「TOEFLのスコアを◯点以上に上げる」「現地のXX大学に進学する」といった具体的な目標を設定することで、達成感が得やすくなります。目標が不明確なままでは、モチベーションが続かず、結果的に留学生活が上手くいかなくなることもあります。
言語力の不足
留学において、言語の壁は最も大きな障害の一つです。私も英語の聞き取りに大変苦労した経験があります。授業は様々な国出身の教授が担当することも多く、訛りのある英語で授業が進むことも少なくありません。そのため、内容が理解できない場面もありました。そんな時、頼りになるのはクラスメートとのコミュニケーションです。授業内容をクラスメートや友人に確認したり、放課後に先生に質問したりすることで、理解を深めました。
しかし、語学力が不十分な状態で留学を始めると、こうしたコミュニケーションがうまく取れません。先生やクラスメート、ホストファミリーと意思疎通ができないと、孤立感やストレスが増し、留学生活が辛くなることがあります。そのため、留学前に出来るだけ語学力を磨くことが非常に重要です。
メンタルが弱い、ストレス耐性が低い人
留学中には、ホームシックや孤独感、学業のプレッシャーなど、多くのストレス要因が多く存在します。ストレスをうまく対処できず、すぐに不安や挫折を感じやすい人は、留学生活を続けるのが難しくなることがあります。また、異文化での生活は新鮮で楽しいこともありますが、長期間の留学では「カルチャーショック」が避けられません。特に、自国とは大きく異なる生活習慣や価値観に直面すると、適応するのに時間がかかります。
例えば、日本の学生は集団で行動することに慣れているため、自己主張が強い文化や個人主義の強い国での生活に戸惑うことが多いです。この文化の違いにうまく対応できないと、ホームシックが悪化し、留学全体の成功に大きな影響を与えることになります。留学前から異文化理解を深め、柔軟に対応できる心構えを持つことが重要です。

自己管理の欠如
自由な時間が増える海外留学では、自己管理能力が試されます。自分自身で学習計画を立て、生活のバランスを保つことができないと、生活が乱れ、学業成績が下がる原因になります。また、日常生活の基本である健康管理(睡眠、食事、運動など)を怠ると、体調を崩すリスクが高まります。特に、現地の生活に慣れるまでの間は、あまり夜更かしなどせず健康管理に気を配ることが重要です。体調を整えることで、学校を休むことなく継続して授業に出席でき、学習を効果的に進めることができます。
現地の生活環境との不一致
現地での生活環境が自分に合わない場合、留学生活自体がストレスになることがあります。特に、ホームステイ先との相性や、食事、気候などが合わないと、毎日の生活が苦痛に感じられるようになります。適切な生活環境が整っていないと、勉強にも集中できず、留学全体の成功が危ぶまれます。
留学先の選択時には、自分に合った環境をしっかりと見極め、現地の生活に適応できるかどうかを慎重に検討することが大切です。
サポートシステムの活用不足
留学中は、現地のサポートシステムやカウンセリングサービスを活用することが非常に重要です。問題や困難に直面した際、一人で抱え込むのはよくありません。学校のカウンセラーや留学エージェントに相談することが、問題解決への第一歩となります。また、現地での友人やホストファミリーとの関係を大切にし、困った時には躊躇せず助けを求める姿勢も大切です。
問題を抱え込んでしまうと、ストレスが溜まり、学業や日常生活に支障をきたす可能性があります。孤立感が増し、精神的な負担が大きくなると、最悪の場合、留学を続けることが困難になることもあります。そのため、サポートシステムを積極的に利用し、早期解決を図ることが重要です。
執筆者
カナダ在住ママ:T.H.