カナダの小・中・高校の音楽教育について

カナダの音楽教育は、日本のアプローチとは大きく異なります。日本では、保育園から子供たちが皆ピアニカを弾きながらドレミを学び、毎日挨拶の歌から始まり、季節の歌を歌うことが日課でした。息子が通った日本の保育園では、先生がアップライトピアノを生演奏し、それに合わせて毎日歌い、年齢と共に音感とリズム感を伸ばし、幼稚園ではピアニカ以外の様々な楽器も経験し、市内の演奏会にも参加していました。

 

一方で、カナダのプリスクールでは教室にピアノが置かれておらず、ピアニカなどの楽器に触れる機会もありませんでした。歌は歌いますが、CDに合わせて数曲程度に過ぎません。私は音楽教育者の一人として、正直に言うと、カナダの公立学校での音楽教育にはいつも物足りなさを感じています。今日はこのカナダの音楽教育について触れてみたいと思います。

  

プリスクール

プリスクールでは、日本のように先生がピアノを弾いてみんなで歌ったり、ピアニカや他の楽器に触れるという経験もさせてくれません。代わりにCDを使ってアルファベットやフォニックスの曲、曜日を覚える歌などをみんなで何度も歌います。芸術の時間は、音楽よりもお絵かきや手工芸に充てられ、創造性を伸ばす活動が行われています。

 

小学校

小学校に進むと、英語や算数などアカデミックなクラスが強調され、芸術のクラスは低学年では週1回程度となります。この芸術のクラスには美術と音楽が含まれています。低学年の段階では、日本のようにピアニカ、リコーダーを吹く又は、歌を歌う音楽授業はほとんど行われません。音楽楽理も教わりません。本格的な音楽の授業は5年生以降からスタートします。

カナダの小学校の音楽室は、日本の音楽室のようにグランドピアノが置いてあったり、楽器の倉庫が備えられることはなく、むしろ多目的室のような構造の部屋が一般的です。高学年になると、生徒は自分の演奏したい楽器(サックス、クラリネット、フルート、オーボエなどの管楽器)や打楽器などを選び、楽器店からレンタルもしくは購入します。そして、音楽の授業のバンドクラスに参加します。ただし、楽器を扱うのも初めて、音符も読めない生徒もクラスに多くいるため、バンド演奏会を聞いてもかなりのばらつきが見られます。

バンドコンサート
 
セカンダリー

セカンダリーにおいて、カナダの音楽教育は小学校と同じく、音楽は美術などの芸術科目の一環であり、選択科目となります。音楽のクラスでは、ジャズバンドやギター、コーラスのクラスが主に提供され、生徒は自らの興味や才能に応じてこれらのクラスを選択します。

 

カナダの公立学校での音楽教育はこのような感じで行われていますが、RCMのような認定プログラムも存在します。

 RCM(Royal Conservatory of Music)

このテストは、カナダの音楽教育機関が提供する評価試験で、最近日本で導入された音楽技能検定と類似しています。RCMテストは音楽の実技や理論に焦点を当て、ピアノ、声楽、器楽など、21の楽器に対応しています。生徒は一定のレベルに到達すると、対応するグレードの試験を受験し、合格することでそのレベルの実力が認められます。RCMテストは音楽教育の標準を確立し、学習者に具体的な目標を提供する役割を果たしています。

 実技だけでなく、理論の筆記試験もあり、評価は主に実技演奏と音楽理論の両方に焦点を当てています。実技の部分では楽器や歌の演奏技術が、音楽理論の部分では楽譜の読み方や理論的な知識がテストされます。各グレードには実技と理論の要素が含まれ、生徒は実技と理論の両方に取り組む必要があります。

  

日本はピアノ、フルート、バイオリンなどの楽器生産大国で、他国に比べると手頃な価格で良質な楽器が簡単に入手でき、子供たちは早い段階から基本的な楽理や楽器演奏を学校でも学びます。一方で、カナダでは音楽教育は主に家庭の方針に委ねられ、生徒は個別で音楽教室で学び、RCMテストを受験して向上心を養います。カナダでは音楽は芸術の一環として捉えられ、学生は自分の興味や適性に合わせて多様な音楽体験を積むことができるようになっています。このように、各国の独自の音楽文化を形成するアプローチが違います。

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